採用と組織は車の両輪。“育つ組織”を作る採用設計

「採用したのに辞める」──その繰り返しに終止符を打てるか

「せっかく採ったのに、すぐ辞める」
「採用はできても、育たない」

そんな声を、毎月のように建設業の社長から聞きます。

でも実は──
採用がうまくいかないのではなく、組織が育つ構造ができていないだけなんです。

採用と組織は、車の両輪
どちらか片方だけを回しても、前には進みません。

採用職人は建設業に特化した中小企業様向けに採用支援サービスを提供しています。採用でお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。御社の成長を加速させる機会を。


現場で見た「人が定着しない会社」の共通点

私は元・建設会社の人事部長として、
200社以上の採用支援に関わってきました。

驚くことに、“人が辞める会社”には共通点があります。

  1. 採用は頑張っているが、育成の仕組みが存在しない
  2. 現場が「教える側」になっておらず、放任か過干渉
  3. 採用の目的が“人手補充”で止まっている

つまり、採用は「入口の設計」だけで終わり、
その先の“育つ構造”が存在しない。

例えるなら、立派な玄関を作っても、
中の部屋が未完成の家に人を招いているようなものです。


採用は成功したのに「誰も残らなかった」

ある地方の建設会社。社員数は25名、平均年齢45歳。
社長は「若手を採りたい」と毎年100万円以上の求人広告を出していました。

1年目、応募は増え、5人採用。
「ようやく若返りができた」と喜んでいたのも束の間──
1年後、残ったのはわずか1人。

理由を聞くと、こんな答えが返ってきました。

「誰に聞いていいかわからなかった」
「仕事を覚える前に怒られて終わった」
「会社の方針が見えなかった」

彼らは“合わなかった”のではない。
受け皿(組織構造)が存在しなかったのです。


採用と組織が分離している会社は「逆回転」する

多くの中小企業では、
採用と組織づくりが別々の部門で進んでいます。

  • 採用:人事または広告会社
  • 育成:現場のリーダー任せ
  • 定着:誰も責任を持たない

この構図では、採用の努力が組織に伝わらない。

経営者は「採用が課題だ」と思い込むが、
本当は“採用と組織の接続点”が抜け落ちているだけ。

採用を変える前に、まず組織の循環を整えることが必要なのです。


採用と組織をつなぐ3つの接続ポイント

組織が育つ会社は、採用と組織の「接続設計」ができています。
ポイントはたった3つ。


① 方針の接続──経営戦略と採用戦略を一本化する

多くの会社では、「経営方針」と「採用方針」が別々に存在します。
しかし、経営方針が「施工班を増やす」であれば、
採用方針も「班を率いる人材を採る」に連動しなければ意味がない。

採用とは経営計画の一部。
経営が人を動かし、人が経営を支える構造を作る。


② 構造の接続──“育つ仕組み”を先に整える

採用を始める前に、「育成構造」を先に設計する。

  • 誰が新人を教えるか
  • どの期間で何を身につけるか
  • どのタイミングで評価するか

これらを明確にした会社は、入社後の離職率が圧倒的に低い。

ある会社では「1年目は“基礎・報連相・安全”に絞る」と明文化しただけで、
半年の離職率が70%→10%に改善した。

採用は、“教育シナリオ”がないと回らない。


③ 評価の接続──採用成果を数字で見る

採用の最終成果は「人が育つこと」。
そのためには、採用をKPIで管理する必要がある。

KPI目的経営への効果
応募数求人反応の把握母集団形成の改善
面接率応募対応スピードの確認機会損失の防止
定着率マッチング・教育効果の測定離職コストの削減

採用KPIは、“経営の健康診断”と同じ。
数字で見るからこそ、改善が進む。


なぜ「育たない組織」になってしまうのか

採用と組織が分離した会社には、3つの“歪み”が起きています。

  1. 採用スピード>教育スピード
     → 採っても育てられない。結果、現場が疲弊。
  2. 採用目的>育成目的
     → 「人を入れる」こと自体がゴールになっている。
  3. 採用担当>組織責任者
     → 採用は人事任せ、育成は現場任せ。誰も全体を見ていない。

採用を成功させるには、
この3つを“経営が一本化すること”が不可欠です。


実例:採用と組織を同時に整えて成功した会社

私が支援したある中小建設会社(社員22名)は、
当初、離職率が40%、採用単価が100万円を超えていました。

社長は「求人が悪い」と言っていましたが、
実際は“組織構造のズレ”が原因でした。

そこで取り組んだのは、採用を止めて組織を整えること

実施内容

  1. 教育担当者を3名選定し、評価基準を共有
  2. 月1回の面談制度を導入
  3. 採用と育成を経営会議で一体管理

半年後の成果はこうです。

  • 応募:10件 → 45件
  • 採用単価:98万円 → 38万円
  • 定着率:60% → 92%
  • 売上:前年比150%

採用を「経営装置」として扱った瞬間、
会社全体のリズムが変わったのです。


“育つ組織”を作る採用設計法

ここからは、実際に経営者が取り組める実践ステップを紹介します。


ステップ①:「理想の組織像」を描く

まず、“採りたい人”よりも“育てたい組織”を考える。
5年後のチーム構成・リーダー層・役割バランスを可視化する。

例:

  • 現場班を3班 → 5班に拡大
  • 若手職長を3名育成
  • 2年で中堅層の離職率を10%以下へ

このように、組織の未来図を前提に採用を設計する


ステップ②:「採用×育成×評価」を一本化する

採用担当・教育担当・評価者を分けず、
1本のチームで運用する。

毎月の経営会議で「採用数・教育進捗・定着率」を並べて確認する。
数字を並べることで、組織が“採用の流れ”を理解できるようになる。


ステップ③:「採用データ」を経営数字に転換する

応募数や離職率などのデータを、経営KPIとして管理。
採用KPIは営業・原価管理と同じレベルの経営数字です。

  • 採用単価を下げる=利益率の改善
  • 定着率を上げる=生産性の安定
  • 教育期間を短縮=稼働スピードの向上

採用を数字で語れるようになると、
会社全体が「人を経営する」感覚に変わります。


組織の“器”を整えると、採用は自然にうまくいく

人が育つ会社は、採用が上手だからではありません。
育てる構造があるから、採用もうまくいくのです。

採用を広告で増やすのではなく、
組織の構造で増やす。

  • 役割を明確に
  • 教育を仕組みに
  • 評価を経営に

この3つを整えれば、応募数も定着率も必ず上がる。


「採用=組織の鏡」組織の成熟度をあげよう

採用活動を見れば、その会社の“組織の成熟度”が分かります。

  • 採用が感覚的 → 組織も属人的
  • 採用が数字で管理 → 組織も仕組みで動く
  • 採用が理念と連動 → 組織も育つ文化になる

採用は経営の縮図です。
人が集まらないのではなく、構造が人を受け止められていないだけ。


まとめ:採用と組織は一体で設計するもの

  • 採用と組織を分けて考えると、どちらもうまくいかない
  • 採用は“入口”、組織は“土台”──両輪で動かすことで初めて前進する
  • 組織の器を整えれば、採用は自然と回り出す

採用は、気合でも予算でもなく、構造設計で決まる。

その構造を体系化したのが、
採用職人の採用支援サービス です。

求人設計から採用導線、教育・定着の仕組みまでを一気通貫で支援し、
“採る”から“育つ”へ。
御社の組織を、確実に成長させる実務設計を提供しています。


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関連リンク


最後に。
採用と組織は、決して別物ではありません。
「人を採る」ことは、「会社を育てる」こと。

両輪が噛み合ったとき、
初めて会社はまっすぐ前に進みます。