面接官が無意識に“落としている”建設業で言ってはいけない3つの言葉
面接官が言ってはいけない3つの言葉

その一言で、“いい人”を逃していませんか?
「感じは良かったのに、なぜか辞退された」
「面接までは来るけど、そこから先につながらない」
──この相談、建設会社の社長や職長から本当によく聞きます。
でも多くの場合、原因は応募者ではなく“面接官の言葉”にあります。
面接官が「何気なく言った一言」が、応募者の心をスッと冷ます。
しかも本人は気づいていない。
面接で一番怖いのは、落とすことではなく「落ちる空気をつくること」です。
無意識の“上から目線”が応募者を遠ざける
ある土木会社での出来事。
面接担当はベテランの現場監督。仕事の腕も人望もある人でした。
ただ、採用となるとこんな感じです。
「うちは厳しいよ。それでも大丈夫?」
「若い子は続かないけど、うちは違うからね」
悪気はゼロ。むしろ“覚悟を確認”しているつもり。
でも、応募者の立場からすればどうでしょう?
——「歓迎されてない」「自分には向いてないかも」
そう感じて、帰り道で辞退を決める。
面接官は「やっぱり最近の若いやつは根性がない」と言う。
けれど本当は、“言葉で門を閉じていた”んです。
NG①:「うちは厳しいよ、大丈夫?」
心理的には「あなたには無理」と言っているのと同じ
建設業界の面接で最も多いNGワードです。
この言葉の意図は「現場の厳しさを伝えたい」「ミスマッチを防ぎたい」。
しかし、応募者の心理に届くメッセージは真逆です。
「大丈夫?」=「あなたは不安だ」
「厳しい」=「怖い」
特に未経験者や若手にとって、この一言は“心理的シャットアウト”になります。
本来なら伝えるべきは「厳しさ」ではなく「支援体制」。
たとえば、こう言い換えるだけで印象が180度変わります。
❌「うちは厳しいよ、大丈夫?」
⭕「最初は難しいこともありますが、みんなで教えるので安心してください」
面接の目的は、“覚悟を試すこと”ではなく“安心を与えること”です。
NG②:「経験がないと難しいかもね」
「可能性を閉ざす言葉」は、未来の人材を遠ざける
この言葉も、よく聞く面接の口癖。
しかし、“成長したい人”ほど、この一言で去っていきます。
たとえば、20代未経験の応募者がいたとします。
彼は「ゼロからでも挑戦したい」と思って来ている。
その時に「難しいかもね」と言われたら、
「この会社ではチャンスがない」
と感じてしまう。
逆に、「うちは未経験でも一人前になれるように教える」と言われたら、
「やってみたい」と思う。
言葉一つで、「不安」は「期待」に変わります。
実際、僕が関わった会社では、
このフレーズを封印してから未経験者の定着率が1.8倍になりました。
NG③:「また連絡します」
それ、99%“断られたサイン”に聞こえます
面接の最後に何気なく言う「また連絡します」。
実はこれ、応募者の心理を一瞬で冷ますフレーズです。
応募者はこう思います。
「あ、落ちたな」
そして、帰ってすぐ他社に応募します。
言っている側は「選考フロー上の常套句」のつもりでも、
応募者から見れば「あなたには興味ありません」と同義。
どうすればいいか?
同じ意味でも、言い方を変えれば伝わり方が変わります。
❌「また連絡します」
⭕「〇日までに結果をご連絡します。どんな形でも必ずご連絡しますね」
“約束”に変えるだけで、信頼が生まれる。
面接とは信用づくりの第一歩なんです。
面接官が発する言葉は“企業文化”そのもの
建設業は人が資本。
だからこそ、面接での一言が会社の印象を決めます。
実際、ある施工会社で面接官の発言を録音して分析したところ、
応募辞退率が高い面接ほど「否定語」が多い。
逆に、採用成功率が高い面接では「共感語」「承認語」が多かった。
「そうなんですね」「いい経験ですね」「なるほど」
この3つの言葉を意識するだけで、応募者の表情が変わります。
(関連: 採用で“いい人”を落とさないために──建設業が見落とす採用プロセス設計)
失敗例から学ぶ:面接現場の“沈黙10秒”事件
僕が人事部長時代、こんなことがありました。
面接官(職長)は寡黙なタイプ。
応募者が質問を終えても、10秒ほど沈黙。
その後、淡々と一言。
「まぁ、現場来てみないと分からんからね」
結果、応募者はその日の夜に辞退。
本人は「余計なことを言わない方がいいと思って」と言っていました。
でも、沈黙は“興味のなさ”に聞こえる。
採用は「黙る勇気」よりも「伝える努力」が必要です。
面接を“教育の場”に変える3つの改善ステップ
① 全面接官で「言葉の見直し会」をする
現場面接官が3人いれば、3通りの言葉がある。
「自分がよく使う言葉」を書き出し、NG表現を共有するだけで、
応募離脱率は確実に下がります。
② 面接スクリプトを共通化する
全員が同じ構成・質問軸で話せば、会社の印象が統一される。
採用職人では“面接スクリプトテンプレート”を提供しています →
建設業専用 教育動画・面談テンプレート
③ 面接後の振り返りミーティングを設ける
応募者が帰った後、「どう感じたか」を共有する。
面接官同士が気づきを話すことで、面接力が自然に上がります。
面接トークを変えただけで応募率2.5倍
ある中小の舗装会社では、
「うちは厳しいよ」→「最初は大変ですが、慣れれば楽しくなります」に言い換え。
それだけで、翌月の応募が2.5倍。
さらに、一次面接後の辞退が半分以下になりました。
人は「期待されている」と感じた瞬間に、行動が変わります。
つまり、面接官の言葉が採用成果を左右するんです。
(この事例に近いテーマはこちら → 応募が来ない時代に、なぜあの会社だけ採用できるのか?)
採用職人のサポートで“話す力”を仕組みに変える
採用職人の採用支援サービス(https://recruit-worker.com/)では、
面接官教育の仕組みを実務レベルで構築しています。
・面接質問テンプレート
・NGワード共有リスト
・応募者心理トレーニング
を組み合わせ、誰でも“落とさない話し方”を習得できる設計です。
面接は「選ぶ場」ではなく「信頼をつくる場」
“いい人”が来ないのではない。
“いい人”が去っているのです。
その原因は、求人広告でも条件でもなく、
面接官のたった一言。
採用の成果は、面接官の口から始まる。
今日から、「うちは厳しいよ」をやめて、
「一緒にやっていきましょう」と言ってみてください。
採用は、そこから変わります。

