採っても辞める会社と、定着する会社。その差を生んだ「採用設計」の正体

「採っても辞める」現実を、どう変えるか?

「せっかく採用しても、3ヶ月で辞める」
「現場が育たない」「定着しない」──。

多くの建設業の社長が、今この悩みに直面しています。
でも、驚くべきことに“辞めない会社”は確実に存在します。

私は人事部長時代に、離職率50%→25%、つまり半減を達成しました。
しかも「給料アップ」や「福利厚生拡充」はしていません。
変えたのは、採用設計の仕組みだけ。

この記事では、離職率を下げた成功企業に共通する「採用設計の構造」を、
実例とともに公開します。

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「採っても辞める」現場のリアル

ある現場監督の言葉が忘れられません。

「あいつ、やっと慣れてきたと思ったら辞めたんですよ」

建設業の現場はチーム制です。
1人抜けるだけで、現場のリズムが崩れ、
残った社員の負担が増える。
そして、その負担が次の離職を生む──。

この悪循環を止めるには、「採用の段階」から設計を変える必要がある。
“辞める人を採らない”仕組みづくりが、定着率の本質です。


「採用」と「定着」は別問題だった

以前の私は、「採れれば成功」だと思っていました。
求人を出し、面接して、採用決定。
でも3ヶ月後には半分が辞めている。

原因を分析すると、こうでした。

  • 面接で“スキル”ばかりを見ていた
  • 入社後の教育設計が曖昧だった
  • 「会社の価値観」と「本人の期待」にズレがあった

つまり、採用フローが「入口」で終わっていた。
“採用=入口+定着までの設計”という発想が抜けていたのです。

関連テーマはこちら → 新人が定着しない原因と解決のヒント


離職率を下げるのは「待遇」ではなく「構造」

離職率を下げるために「給料を上げよう」「福利厚生を増やそう」と言う会社は多い。
でも、それでは一時的な効果しかありません。

私の経験上、待遇を上げても、合わない人は辞めます。
逆に、構造を整えれば、今の待遇でも辞めない。

“合う人を採り、合う育て方をする”これだけで離職は半減します。
成功企業の共通点は、まさにこの一点に集約されます。


解決策①:「採用前」に“合う人”を見極める質問設計

離職率を下げた企業の第一の共通点は、面接質問の再設計です。

彼らは「優秀な人」を探すのではなく、
「自社と合う人」を見抜く質問をしています。

具体例:

「どんな現場だと働きやすいと感じますか?」
「上司や仲間に求めるものは何ですか?」

この質問によって、応募者の“価値観”が見える。
結果として、入社後のギャップが減り、離職率が下がるのです。

👉 詳しくは → 面接で“いい人”を落とさないために


解決策②:「入社後の3ヶ月」を構造化する

次の共通点は、教育設計の標準化です。

多くの会社は「OJTで覚えろ」と言いますが、
成功している会社は“学びの順番”を決めています。

例:
1週目:現場見学+安全講習
2週目:先輩同行(補助作業)
3〜4週目:簡易作業を任せる

この“進行設計”があるだけで、
新人は「成長している実感」を得られ、モチベーションが続く。

それが、離職防止の最強の仕組みです。

👉 関連note:建設業専用 教育動画・面談テンプレート


解決策③:「現場と人事の連携」を日常化する

離職率を下げた会社に共通するのは、
人事と現場が“別部署”ではないということ。

毎週10分でも、現場リーダーと採用担当が会話しています。

「今週入った新人、どうですか?」
「現場の雰囲気、ギャップは感じてません?」

この小さな対話が、早期離職を防ぐ。
問題が“起きる前に”拾えるようになるのです。

関連して、こちらの記事でも解説 →
人が足りない時こそ“効率化”が必要


離職率を半減させたA社の採用設計

A社(従業員30名・土木工事業)は、3年間離職率50%を超えていました。
改善のきっかけは「採用構造を見直す」こと。

Before

  • 面接質問:スキル確認のみ
  • 教育:各現場任せ
  • 面談:離職前に初めて実施

After

  • 面接質問:価値観・現場観重視
  • 教育:3ヶ月ロードマップ導入
  • 面談:入社1週・1ヶ月・3ヶ月に設定

結果:
離職率 52% → 24%(1年後)
新人定着率 48% → 86%
採用コストも30%削減。

「採用構造を変えたら、人が辞めなくなった」
A社社長の言葉が象徴的でした。


成功企業の共通点:3つの設計要素

分析の結果、離職率を下げた建設企業には3つの共通構造がありました。

設計領域成功企業の共通点効果
採用設計“合う人”を見抜く質問ミスマッチ減少
育成設計3ヶ月ロードマップ定着率向上
組織設計現場連携と面談習慣早期離職防止

これらは「特別な仕組み」ではありません。
むしろ、“当たり前を構造化しただけ”です。

そしてこの“構造の見える化”こそが、離職を防ぐ最大の武器になります。


採用設計を「経営課題」として扱う

離職率の高さは、採用部門の責任ではなく経営構造の歪みです。
成功企業はそれを理解しており、採用設計を経営の一部に組み込んでいます。

  • 経営者が採用会議に参加
  • 採用データをKPIとして管理
  • 面接質問・教育内容を毎年更新

これらの取り組みで、“採用が文化化”している。
採用が「属人」ではなく「仕組み」で回る状態。
それが離職を防ぐ土台になります。

👉 参考記事:「応募が来ない会社」がやっている致命的な3つの間違い


データが示す:採用設計を変えた企業の成果

私が支援した建設会社8社の平均データを示します。

項目改善前改善後(1年)
離職率47.8%25.1%
定着率(1年)52%84%
面接通過率41%78%
内定承諾率36%65%

共通しているのは、“採用前から定着までの流れを設計した”こと。
つまり、採用設計=離職率改善の仕組みなのです。


採用文化が会社を強くする

採用が“仕組み化”された会社には、自然と「文化」が生まれます。

  • 現場が新人を歓迎する
  • 教育が属人化しない
  • 面接で「うちに合う人」を語れる

この文化が根づくと、人は辞めません。
それどころか、社員が採用の味方になる

採用とは“人を選ぶ行為”ではなく、“文化を広げる仕組み”です。

👉 関連note:「採用に困らない会社」の裏にある“構造の違い”とは?


採用職人の支援サービスで再現する

採用職人の採用支援サービスでは、
求人原稿・面接・教育・定着の全ステップを構造化します。

「離職率を半減させたい」「採用後の教育が弱い」と感じている企業様には、
実績に基づいたテンプレートとフレームワークをご提供。

実際に、半年で離職率50%→23%まで改善した企業も。

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辞めない採用は「設計の力」でつくれる

これからの採用競争では、
「採る力」より「辞めさせない力」が重要です。

そして、それは“制度”ではなく“設計”でつくれます。

離職率を下げる仕組みとは、
人を理解し、成長を見える化し、現場が支える構造のこと。

辞めない採用=設計された採用。
これが建設業が次の時代を生き抜く唯一の道です。


【まとめ】離職率は「仕組み」でしか下がらない

採用は、運でも予算でもなく“構造設計”です。
離職率を下げた会社は、必ず仕組みを持っている。

  • “合う人”を採る質問設計
  • “育つ道筋”を作る教育設計
  • “支える関係”を築く現場連携

これら3つを整えれば、離職率は半減します。

今こそ、採用を「文化づくり」として見直す時期です。


参考note:

離職を減らす第一歩は、「設計を変える勇気」から。