求人票の書き方ひとつで罰則対象に?建設業が知るべき職業安定法改正の落とし穴

「求人票なんて、前のままでいいでしょ?」──それが“罰則リスク”の始まりです
2024年4月の職業安定法改正で、求人原稿は“宣伝”ではなく“法的文書”になりました。
いままでは「気軽に出せた」求人票が、
内容次第で罰金・掲載停止・是正命令の対象になる時代に入ったのです。
特に建設業は、業務変更や勤務地異動が多く、
法改正の影響を最も強く受ける業界のひとつ。
この記事では、
「どんな求人文が違法なのか」
「どんな罰則があるのか」
「どう書き直せば安全なのか」
を、元人事部長の立場から解説します。
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① 🟧「うちは嘘なんて書いてない」──でもそれで違反になる
“虚偽表示”だけでなく“誤解表示”も禁止に
多くの採用担当者がこう言います。
「ウチは嘘は書いてない。だから大丈夫でしょ?」
ところが改正職業安定法では、
“誤解を招く表現”も違法になりました。
たとえば──
- 「月給35万円〜」と書いておきながら、実際は手当込み。
- 「勤務地:東京」と記載しながら、実際は神奈川・埼玉もあり。
- 「詳細は面談時に説明します」で済ませている。
これらはすべて、罰則対象になる可能性があります。
意図せず“誤解させた”時点で、30万円以下の罰金または6か月以下の懲役が課されることも。
② 🟧求人原稿の「言葉選び」が法的リスクを生む
改正法で問われるのは「書いてあること」より「伝わり方」
今回の改正で、厚生労働省が最も重視しているのは“透明性”。
求人票に**「実態と一致しているか」**が問われます。
違反となる主なパターン
| 分類 | 内容 | 罰則 |
|---|---|---|
| 虚偽表示 | 実態より有利な条件を記載 | 6か月以下の懲役または30万円以下の罰金 |
| 誤解表示 | 一見有利に見えるが誤解を招く表現 | 是正命令+改善報告義務 |
| 無明示 | 書くべき項目を省略(勤務地・更新条件など) | 指導・勧告・再発時に掲載停止 |
| オトリ広告 | 実在しない求人掲載 | 行政処分・媒体利用停止 |
つまり、「明確に書いていない」ことも違反になり得るのです。
③ 🟧建設会社B社の「うっかり違反」
“誇張ではなく曖昧さ”が処分の原因に
B社は中堅の土木工事会社。
求人広告にこう書いていました。
「勤務地:都内各現場」
「給与:月給30万円〜(経験による)」
実際には、神奈川・千葉の現場も多く、
給与も残業代込みで25万円スタート。
結果、応募者から「話が違う」と通報が入り、
労働局から是正勧告と媒体停止を受けました。
原因は、嘘ではなく“曖昧”。
「都内各現場」という言葉が**“実態より狭い表現”**とみなされたのです。
④ 🟧法改正対応の“安全な求人文言テンプレート”
明確・具体・曖昧禁止が鉄則
以下は、改正法対応の安全な文例です。
✅ 改正対応版
職種: 建設作業員(将来的に施工管理補助業務を行う可能性あり)
勤務地: 神奈川県内(主に横浜市。将来的に他支店・近隣県の現場勤務の可能性あり)
給与: 月給25〜35万円+手当+残業代別途支給(基本給23万円+固定残業代2万円)
雇用形態: 契約社員(1年更新・最長3年)※勤務成績により正社員登用あり
契約更新基準: 勤務評価・勤怠・業績に基づき判断
勤務時間: 8:00〜17:00(休憩60分)残業あり(月平均20時間)
⚠️NG例
「勤務地:横浜」だけ
「給与:月給30万円〜」
「詳細は面談で説明します」
これらはすべて、改正法の明示義務違反または誤解表示に該当する可能性があります。
関連して、条件明示の改正点についてはこちらでも詳しく解説しています →
👉 職業安定法改正対応まとめ
⑤ 🟧違反防止のための“求人チェックリスト”
書く前に必ず確認すべき7項目
- 【整合性】記載内容が実態と一致しているか?
- 【変更範囲】業務・勤務地の変更可能性を記載しているか?
- 【更新条件】有期雇用の場合、更新基準が明確か?
- 【給与構成】固定残業代・手当の内訳を明記しているか?
- 【曖昧表現】「相談可」「詳細は面談時」などを削除したか?
- 【オトリ防止】実在しない募集を掲載していないか?
- 【金銭提供】応募者への特典・ギフト提供がないか?(※2025年4月以降禁止)
これを社内でルール化すれば、罰則リスクはほぼゼロになります。
⑥ 🟧採用職人の支援で“法対応と採用改善”を同時に実現
求人表記を直すだけで、応募の質も変わる
採用職人の採用支援サービスでは、
法改正に対応した求人文チェックテンプレートを提供しています。
- 改正職安法対応求人票フォーマット
- 募集文書チェックリスト(50項目)
- 媒体審査対策マニュアル
- 採用原稿改善のテンプレート付き
実際、導入企業の多くが、
「法対応で安心できた」
「内容が明確になり応募者の信頼が増した」
と回答。
法対応は“手間”ではなく“信用づくり”。
採用成功の第一歩です。
⑦ 🟧「採用は“気合”ではなく“仕組み”」
書き方ひとつで信頼もリスクも変わる
求人原稿は今や“法的文書”。
書き方を間違えれば罰則、書き方を正せば信頼。
採用職人の支援では、法令遵守+採用効果+コスト削減を同時に実現できます。
10年先まで使える安全な採用仕組みを、今のうちに整えましょう。

