「資格・経験者歓迎」が応募を減らす。建設業の求人でよくある落とし穴

「資格・経験者歓迎」──その一言が応募を遠ざけているかもしれません
建設業の求人で“経験者歓迎”と書くのは当たり前。
でも実は、それが応募減少の原因になっているケースが多いのです。
この記事では、求職者心理とペルソナ設計の観点から、原稿改善のヒントをお伝えします。
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“資格・経験者歓迎”が逆効果になる理由
「なぜ応募が来ないのか?」──多くの会社が気づかない“言葉の壁”
「資格・経験者歓迎」と書いているのに、なぜ応募がないのか。
よく経営者からこんな相談を受けます。
「未経験者ばかり来て困る」
「経験者を採りたいのに、全然応募がない」
しかし冷静に見れば、**その原稿の書き方が“応募を遠ざけている”**のです。
「経験者歓迎」という言葉は一見ポジティブ。
けれど、受け取る側の心理では“未経験者お断り”と同義に読まれています。
実際に応募が激減した現場の話
以前支援した建設会社(従業員18名)で、こんなケースがありました。
求人原稿の冒頭にはこうありました。
「資格・経験者優遇。重機オペ経験者歓迎」
待遇も悪くない。日給15,000円、社用車貸与。
しかし3ヶ月で応募はたった2件。
同地域で「未経験OK・しっかり育てます」と書いた別会社は、同期間に18件の応募を獲得していました。
そこで私は、原稿を全面的に見直しました。
変更後のタイトルはこうです。
「免許がなくてもOK。最初の半年は“助手”として現場を覚えるところから」
たったこれだけで、応募数が5倍になりました。
つまり、「経験者を優遇したい」という会社の意図が、求職者には“自分は対象外”と感じさせていたのです。
応募が減る“心理のメカニズム”
求職者の行動心理をひとことで言えば、こうです。
「少しでも“自分向きじゃない”と思ったら、応募しない」
特に建設業の応募者層は慎重です。
彼らは転職のたびに「現場を一から覚え直すリスク」を感じています。
つまり、「資格・経験者歓迎」と書かれた瞬間に、
「自分は未経験だから無理かも」と自己選別が始まる。
その結果、母集団(応募数)が減り、面接のチャンスも狭まります。
逆に、ターゲットを“育てる前提”で設定した原稿は、応募数も質も安定します。
実践ステップ:ターゲットを“絞る”のではなく“描く”
原稿で最も大切なのは、ペルソナ=理想の応募者像を明確に描くことです。
ここを曖昧にしたまま「経験者歓迎」と書くと、結果的に“誰にも刺さらない原稿”になります。
① 求職者のスタート地点を決める
「資格あり」「未経験」「20代」などではなく、
“どんな不安を持って応募してくるか”を考えましょう。
例:「転職回数が多くても、もう一度手に職をつけたい人」
② その人が安心する言葉を探す
例:
「免許がなくても手元作業から」
「1年かけて資格を取るサポートあり」
「入社後すぐに一人前にならなくていい」
これらの言葉は、条件ではなく感情を動かすスイッチです。
③ “優遇”よりも“育成”を打ち出す
「優遇」という表現は、無意識にヒエラルキーを生みます。
「あなたを上に置きます」ではなく、「あなたと育つ現場です」と伝える。
これだけで印象は180度変わります。
原稿改善の具体例
以下は、私が実際にコンサルで修正した事例の一部です。
| Before | After |
|---|---|
| 資格・経験者優遇/未経験者もOK | 免許がなくてもOK。3年で資格が取れる育成制度あり |
| やる気次第で稼げる現場 | 1年目から日給UPの仕組みあり。先輩が毎月サポート |
| 若手活躍中! | ベテランとペアで始めるから、20代でも安心 |
小さな修正でも、“言葉の重心”が変わるだけで応募者の層が変わります。
関連して、採用ターゲット設計の基本はこちらの記事でも詳しくまとめています →
👉 若手の求人・採用がうまくいかない?建設業の中小企業が知っておくべき5つの改善ポイント
データで見る“資格・経験者歓迎”の弊害
当社の支援先(20社・延べ240求人)の分析では、
「資格・経験者歓迎」と明記した求人は、平均応募率が38%低下。
特に“資格保有者優遇”を強調した原稿は、未経験者応募が激減。
結果的に「経験者を採りたい会社」が、「未経験しか来ない状態」に陥るという皮肉な構造。
要するに──言葉の選び方が母集団の質を決めているのです。
“対象を狭める”ほど採用は難しくなる
採用でうまくいく会社ほど、「誰を採りたいか」よりも**「どんな人を育てたいか」**を考えています。
「経験者を採る」のではなく、
「この会社で経験者になる人を採る」──この視点が鍵です。
求人原稿は“選別”ではなく“共感”のツール。
応募を増やす最短ルートは、条件を緩めることではなく、心のハードルを下げることです。
👉 「技術者が集まる会社」は求人原稿がうまいのではなく“仕組み”が違う
応募単価40,000円以下、採用単価1/3を実現
ペルソナ設計を見直し、“育成型原稿”に切り替えた結果、
ある建設会社では応募単価が**¥32,000 → ¥12,000に、採用単価は約40万円以下**に。
しかも、離職率も下がり、3年で売上が約5倍に。
採用を「広告」から「戦略」に変えたことが、最大の成果でした。
👉 求人広告会社に頼ってもうまくいかない理由と“自社で採用を強くする方法”
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まとめ:資格よりも“共感”で人は動く
求人原稿で最も強いメッセージは、
「あなたを歓迎します」ではなく「あなたの不安を理解しています」。
「資格・経験者歓迎」という一言の裏に、どんな心理が隠れているか。
そこを読み解ける会社こそ、採用で勝てる会社です。
採用は気合でも予算でもなく、“言葉設計の仕組み”です。
未来の職人を育てる原稿を、今こそ見直しましょう。

