面接で“伸びる人”を見抜けていますか?建設業が見落とす「原石人材」の特徴

面接で落としてはいけない“原石人材”の見抜き方

「経験がないから不安」──その判断が、未来の主力を逃しているかもしれない

「未経験だからやめておこうか」
「現場経験が浅いから厳しいかもな」

面接の現場で、そうつぶやく職長や社長を何度も見てきました。
でも、その“判断”が、未来の主力を逃していることに気づいている会社は少ない。

建設業の採用現場には、“原石人材”が埋もれています。
彼らはまだ磨かれていないだけ。
ただし、見抜ける会社と見抜けない会社の差は“質問設計”と“評価軸”にあります。

今日は、人事部長として200人以上の面接に同席してきた僕が、
「この人、最初は不安だったけど、今はエースになってる」という事例をもとに、
“原石人材”を見抜くための面接技術をお伝えします。


“経験”よりも“吸収力”を見よ

現場で伸びる人の共通点は「柔軟さ」にある

ある建設会社で、20代未経験の青年を採用したときのこと。
履歴書には「飲食・工場・短期バイト」と職歴がバラバラ。
普通なら“続かないタイプ”と判断して不採用にしていたでしょう。

でも、面接で話してみると、彼の口から出た言葉に違和感があった。

「前の職場では、先輩がやりやすいように掃除の順番変えたら、喜ばれたんです」

たった一言でしたが、そこに“気づき力”と“改善意識”が見えた。
この会社ではその後、彼が2年で班長に。
学歴も経験も関係なかった。
人が伸びるかどうかは、“変化を受け止める柔軟さ”で決まる。


面接で「伸びしろ」を判断する3つのポイント

原石人材を見抜くために、職長や面接担当が見るべきは次の3点です。

① 反応のスピード

質問した瞬間に、表情や反応が返ってくる人は“吸収型”。
「考えながら話す」タイプよりも、「まず聞いて動く」タイプが現場では伸びやすい。

② 例え話ができるか

自分の体験を“他の事例”に置き換えて話せる人は、思考の柔軟性が高い。
「前職ではこうでしたが、こっちはこうなんですね」と言える人は応用力がある証拠。

③ 素直さと自己客観性

「前の職場では怒られることも多くて」と言える人は、自己分析ができている。
反省できる人は伸びる。言い訳をする人は変わらない。

この3つを見極めるだけで、“経験ゼロ”でも伸びる人材を逃さなくなります。


原石人材は“質問の角度”で浮かび上がる

「何を聞くか」ではなく「どう掘るか」

原石人材は、面接の定型質問では見えません。
たとえば、こう聞いても何も分からない。

「前職ではどんな仕事してました?」
「倉庫で仕分けしてました」

ここで終わると、ただの“職歴確認”です。
でも、こう聞き直してみましょう。

「仕分けの時、どうやって早く終わらせてた?」
「最初は遅かったけど、台車の並べ方変えたら早くなりました」

——この瞬間、「この人、工夫できるな」と分かる。
面接とは、“事実の確認”ではなく、“思考の発掘”です。

【参考記事】面接で“いい人”を落とさないために──建設業が見落とす採用プロセス設計


落としかけた“原石”がエースに育った話

ある中堅建設会社での話です。
当時、面接に来たのは30代前半の男性。
前職はコンビニ勤務、資格なし。
社長は「うーん、厳しいかな」と渋い顔。

でも現場の職長が一言。

「この人、話してて“人の立場で考える”って感覚があるよ」

その直感を信じて採用。結果、2年で主任職に。
いまでは後輩育成まで任される存在です。

人は“スキル”ではなく“意識”で化ける。
面接でそれを見抜ける会社は、採用後の定着率も高い。

(関連: 「若者がすぐ辞める」のではなく「辞めやすくしている」のは会社側だ


原石人材を見抜く“逆質問”テクニック

採用担当や職長側からだけでなく、応募者の“質問力”にも注目しましょう。
「何か質問ありますか?」のときに、こう返す人は要チェックです。

「入社後はどんなことから教えてもらえますか?」
「チームで動くとき、どんな雰囲気ですか?」

——この2つは、“学びへの意欲”と“組織適応力”のサイン。
逆に、「休みは?」「残業は?」だけの質問が続く場合、価値観が合わない可能性があります。

質問内容には、思考の成熟度が出ます。
面接は“会話のキャッチボール”であり、質問が深い人ほど伸びる人材です。


面接評価を“スキル表”から“成長予測表”へ

建設業の多くは、面接評価を「資格・経験・年数」で判断しがち。
でも、原石人材を採る会社は“未来の伸びしろ”で見ています。

おすすめは、次の4項目を5段階で評価する方法です。

評価項目内容見るポイント
吸収力新しいことへの順応性話の理解スピード、反応
素直さ指摘を受け入れる姿勢自己分析・反省の有無
改善意識現状を変えようとする思考失敗談の中の“工夫”
対人適応チームワークの柔軟性他人の立場に立てる発言

評価シートにこれを加えるだけで、判断がブレなくなります。
そして「未経験だけど、伸びる」と確信できる採用が増える。


採用で最も重要なのは「見る力」ではなく「見ようとする姿勢」

面接で“いい人”を逃す会社の共通点は、「見ようとしていない」ことです。
履歴書で落とす、資格で切る、第一印象で決める。
でも、人の本質はその裏に隠れています。

私が見てきた成功企業は、どこもこう言います。

「最初は何もできなかったけど、今は頼もしいよ」

それは偶然ではなく、“伸びる人を見る目”を磨いた結果です。

【参考】“採用の失敗”を減らすためのチェックリスト


“現場が採用に関わる”と原石を逃さなくなる

職長や現場リーダーが面接に同席すると、見え方が変わります。
人事や経営者が見落とす「現場適応の感覚」を見抜けるからです。

たとえば、ある電気工事会社では、現場のリーダーが最終面接を担当。
導入半年で、採用後の離職が3分の1に。

現場採用の本質は、「一緒に働く人が選ぶ」こと。
これができる会社は、採用のブレがなくなり、職場の雰囲気も安定します。

この仕組みづくりの具体法は、こちらの記事で詳しく解説しています →
現場が採用に関わる会社ほど“人が集まる”


採用職人の支援サービスで“見抜く力”を仕組みに変える

採用職人の採用支援サービス(https://recruit-worker.com/)では、
「原石人材を見抜く面接設計」を導入する企業を増やしています。

質問設計・評価基準・職長面接のテンプレートまで、
実際の現場で使える形に落とし込むのが特徴です。

現場で「面接って苦手なんだよな」と感じる人でも、
スクリプトを使えば自然に“人を見る質問”ができます。


まとめ:人を見る力は、経験ではなく仕組みで育つ

“原石人材”を採れる会社は、見る目がある会社ではありません。
「見ようとする構造」を持っている会社です。

面接は才能ではなく技術。
質問を磨き、評価を整えれば、誰でも“伸びる人”を見抜けるようになる。

そして、その小さな改善が、会社の未来を左右します。

採用は、経験を買うものではなく、可能性に投資する行為だ。

未来のエースを逃さない面接設計を、今日から始めてみませんか?


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