建設業の人手不足は止まらない?元人事部長が語る「会社側の落とし穴」

現場が止まる。採用が進まない。その本当の理由とは?
「求人出しても応募ゼロ」「紹介会社に頼んでも人が来ない」。
――今、建設業の多くの現場で聞く声です。
でも、原因を「若い人がいないから」「うちは地方だから」で片づけてしまうと、いつまで経っても採用は改善しません。
この記事では、**人手不足の“構造的な原因”**を明らかにし、現場理解と採用設計の両輪でどう解決できるかを、元人事部長の実体験を交えてお話しします。
① なぜ建設業だけ人が集まらないのか?
― 質問から始めよう
「なぜ他業界では応募があるのに、建設業だけ“無反応”なのか?」
実は、答えは応募者の心理導線にあります。
飲食業や物流業は、「未経験OK」「すぐ働ける」「正社員登用あり」といった“入り口のハードル”を意識して求人を設計しています。
一方、建設業の求人はどうでしょうか。
「経験者のみ」「即戦力」「要普通免許」――まるで“門前払い”のような表現が多い。
求職者の目線で見れば、「怖そう」「自分には無理」と思われてしまっても当然です。
つまり、人手不足の根本原因は**「労働市場に合っていない求人設計」**にあります。
② データで見る建設業の構造的ミスマッチ
― 若手不足は結果であって、原因ではない
国交省の統計では、建設業の従業員の約35%が55歳以上。
一方で、29歳以下はわずか11%。
しかも離職率は他業界より高く、3年以内離職が40%超というデータもあります。
では、なぜ若手が定着しないのか。
それは「仕事内容がわからない」「キャリアが描けない」「職場の雰囲気が不透明」だからです。
求人広告が“仕事内容ではなく条件の羅列”になっている企業が多く、
結果的に、**「応募が来ない → 若手が育たない → 人が辞める」**という悪循環に陥っています。
③ 現場で感じた「人手不足の本当の原因」
― 元人事部長が見た3つの誤解
私はかつて、年間200万円の求人広告を出して応募10人以下・採用0〜3人という時期がありました。
広告会社に相談しても、「原稿の露出を増やしましょう」「掲載期間を延ばしましょう」という提案ばかり。
でも、現場に聞くと違う答えが返ってきました。
「うちの仕事の魅力を、誰も説明してくれない」
この一言がすべてを変えました。
つまり、「広告」ではなく「伝え方」の問題だったのです。
私は求人原稿を**“職人の1日”の流れで再構成**しました。
写真も現場の社員に撮ってもらい、仕事のリアルを出した。
すると、翌月から応募が20件に増加。半年で採用20名を達成しました。
関連して、こちらの記事でも現場採用の改善プロセスを詳しく解説しています →
👉 採用成功の具体ステップはこちら
④ 中小建設会社が今すぐできる3つの採用改善ステップ
― 「広告を変える」のではなく「設計を変える」
1️⃣ ペルソナを再定義する
誰に来てほしいのか、未経験か経験者か、30代か50代か。
ぼやけたまま求人を出すと、誰にも刺さらない。
2️⃣ 原稿を“体験型”に書き直す
仕事内容を1日の流れで説明する。
「朝は現場集合」「15時には帰社」など、生活のリズムを具体的に書く。
3️⃣ 面接導線をシンプルにする
応募→面接→内定の期間を最短3日以内に。
電話対応の丁寧さも「企業の印象」を左右します。
この3つを整えるだけで、無料求人媒体(例:エンゲージ・ハローワーク)でも応募は増えます。
詳しい改善事例は → 現場採用の本質をまとめた記事 で紹介しています。
⑤ 応募200名・採用20名を実現した“仕組み”の力
― 結果は「運」ではなく「設計」でつくる
求人を出すだけでは人は来ません。
大切なのは、応募が来る仕組みと辞めない仕組みをセットで作ること。
私の会社では、ペルソナ設計と求人改善を軸に、応募数が10倍に増えました。
採用単価は平均150万円から40万円以下に低減。
「もう人が取れない」と嘆いていた現場が、今では職人の採用育成拠点になっています。
⑥ 採用設計の全体像を“テンプレート付き”で公開
― 仕組み化したい方へ
この記事で触れた「求人導線の設計マニュアル」は、
実際に200人応募・20人採用を実現したテンプレート付きnoteで詳しく解説しています。
採用原稿・面接設計・無料媒体の活用まで、今すぐ実践できる内容です。
業種別の成功例や社会的意義も掲載しています。
⑦ まとめ:採用は“気合”ではなく“仕組み”
― 人手不足を「運任せ」にしない会社へ
建設業の人手不足は、景気や人口ではなく“設計力”の問題です。
求人広告に頼らずとも、仕組みを整えれば人は来ます。
採用は気合ではなく仕組み。
動けば変わります。今日から一歩、求人原稿の見直しから始めてください。

