3ヶ月で辞める新入社員が続くのは“現場ではなく採用設計”の問題

「現場が悪い」のではなく、“採用の入口”が壊れている
「せっかく育てても3ヶ月で辞める」
「若手が続かない」「面接の印象と違う人が来る」──。
建設業の現場でよく聞くこの悩み、実は現場ではなく“採用段階の構造ミス”に原因があります。
つまり、「採用設計」が間違っている。
この記事では、元人事部長として200万円の広告費を使っても採用ゼロだった私が、
“採用設計”を見直して早期離職率を70%→15%に改善したプロセスを公開します。
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3ヶ月以内に辞める人は全体の36%
厚生労働省の調査によると、建設業の3年以内離職率は約35%。
さらに驚くのは、離職者の半数以上が「入社3ヶ月以内」に辞めているという事実です。
なぜ3ヶ月なのか。
それは“現場のリアル”に直面する時期だからです。
求人では「未経験歓迎」「チームで支える」と書かれていても、
実際には「朝が早い」「夏は灼熱」「覚えることが多い」。
想像と現実のギャップが、早期離職の引き金になります。
早期離職は“採用段階の設計”で防げる
ある調査によると、離職理由の60%が「入社前の認識ズレ」。
一方で、「採用設計を見直した企業」では、離職率が平均で40%減少したという結果もあります。
つまり、面接や教育以前に、
採用段階の設計=会社の入口の作り方が離職を左右しているのです。
「採用失敗=現場のせい」ではない
多くの会社は、辞めた理由をこう分析します。
- 「仕事が合わなかった」
- 「根性がなかった」
- 「指導が厳しかった」
しかし実際は、採用時点で“合わない人”を選んでいるだけです。
求人で「楽しい・明るい職場」と言いながら、
実際は「安全第一で黙々と作業」。
これでは、求職者の期待値と実態がズレるのは当然です。
面接での会話や原稿の表現1つが、ミスマッチの種をまいているのです。
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👉 現場採用の本質をまとめた記事はこちら
原因①:求人構成が「人を選べない構造」になっている
求人広告の目的は「応募数を増やす」ではなく、「合う人を見極める」ことです。
しかし、ほとんどの建設会社は“宣伝型”の求人を使っています。
例として、以下のような表現をよく見かけます:
- 「和気あいあいとした現場です」
- 「みんなで支え合う職場です」
これでは、**本当に必要な“自走できる人”**が集まりません。
私は人事時代、現場の職長にこう聞きました。
「どんな人が続く?」
「素直で、でも自分で考えるやつ。正直、明るさは関係ない」
それをもとに、求人の書き方を変えました。
- 「教わるより、自分で覚える方が早い人に向いています」
- 「黙々と作業するのが苦にならない方」
これだけで、“見に来る人”のタイプが変わったのです。
求人は、会社のフィルターです。合う人だけを通す設計にすることが、採用成功の第一歩です。
原因②:面接が“会話のズレ”を放置している
面接での「会話の質」も早期離職を決める要素です。
私が採用失敗していた頃は、相手の話を深掘りせずに“いい人そう”で採用していました。
たとえばこんな会話。
人事「体力には自信ありますか?」
応募者「はい、大丈夫です!」
…このやり取り、何の確認にもなっていません。
本来はこう問うべきです。
「夏の屋外作業で、1日10kgの工具を運ぶ日もあります。想像できますか?」
「やってみて違ったと思ったら、どうしますか?」
現場のリアルを伝え、相手の反応を見極める。
この一問で、“本当に続く人”かどうかが見えるのです。
(参考記事:面接で“いい人”を落とさないために──建設業が見落とす採用プロセス設計)
原因③:入社初週の“放置”が離職の引き金
3ヶ月以内に辞める人の多くは、入社初週で「違和感」を感じている。
私は現場調査でこう聞きました。
「初日に誰に声をかけていいかわからなかった」
「説明がなくて怖かった」
これを改善するために、初週を“定着支援期間”として再設計しました。
- 初日はチーム全員で昼食
- 2日目に安全管理+現場ルールの共有
- 3日目に先輩同行+作業フォロー
この3ステップを導入しただけで、3ヶ月離職率が1/3になりました。
(関連:👉 新人が定着しない原因と解決のヒント)
改善策①:「求人→面接→初日」を一本の線でつなぐ
採用は“点”ではなく“線”で設計する必要があります。
求人・面接・入社初期──これらがバラバラに動くと、
求職者は途中で「話が違う」と感じて離脱します。
私が導入したのは「採用導線マップ」。
- 求人で伝える内容
- 面接で確認する内容
- 初週で体験させる内容
これを一貫させることで、“ギャップゼロ”の採用体験を作りました。
結果、入社後3ヶ月の離職がほぼゼロに。
👉 関連記事:建設業の離職率を下げる会社の共通点とは?
改善策②:現場が採用に“参加”する仕組みをつくる
採用の現場参加率が高い会社ほど、定着率が平均で1.8倍になるというデータがあります。
現場を巻き込むと、
- 求人内容のズレが減る
- 面接でリアルな話ができる
- 入社後の受け入れもスムーズ
私が行ったのは「職長面接制度」。
面接の最後に10分だけ職長が登場し、「現場の実情」を語る。
求職者は「嘘がない」と感じ、現場も「自分たちが採った人」という意識になる。
この仕組みで、**“現場が辞めさせない文化”**が育ちました。
改善策③:教育を“最初の1週間”に集中させる
建設業では「まず現場で覚えろ」が当たり前ですが、
新人は最初に“何をしていいか分からず”混乱します。
その結果、
- 不安 → 疎外感 → 離職
という悪循環に陥るのです。
私は初週教育を「ルール・安全・目的の理解」の3テーマに限定。
一度に詰め込まず、“理解→体験→振り返り”のサイクルを設計しました。
これにより、新人の表情が変わり、
「現場が怖い」から「早く慣れたい」に意識が変化。
採用設計の最後のピースは、“教育設計”なのです。
設計を変えるだけで離職が激減
採用段階を再設計した結果:
- 応募数:前年比+180%
- 採用数:月平均3名 → 7名
- 3ヶ月以内離職率:70% → 15%
- 採用単価:120万円 → 38万円
広告費を減らしながら、定着率が上がる。
採用設計が整えば、「辞めない採用」は再現できます。
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採用を“教育の入口”として設計する時代へ
これからの採用は「採る」ではなく「育てる入口を設計する」こと。
求人、面接、初日。この3つの設計を変えれば、
離職率は自然と下がります。
3ヶ月で辞めるのは、本人の根性ではなく、会社の設計ミス。
採用は運ではなく「構造」で再現できます。
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