現場が育たない本当の理由は“職長の教育力”にあった。採用と定着をつなぐ現場改革

新人が続かない現場に共通する“ある違和感”

「最近の若い子は続かない」
そう嘆く職長の横で、入社1ヶ月の新人が黙り込んでいた──。

この光景、建設業の現場では決して珍しくありません。
けれど本当の原因は、“新人の根性不足”ではなく、“職長の言葉の使い方”にあります。
同じ注意でも、「お前、何やってんだよ」と「今のやり方、もう少しこうするといいぞ」では、相手の受け取り方がまったく違う。

私は元人事部長として数百人の面談をしてきましたが、新人が辞めた理由の半分以上は“言葉のトーン”にあると感じています。

採用を頑張っても、教育が崩れたらすべて無駄になる。
今回は、職長の言葉が新人教育を左右する構造を、現場実例とともに掘り下げます。

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辞める新人は“根性がない”のではない

多くの経営者が「教えてもすぐ辞める」と言います。
でも本当は──新人が“教わる環境”が整っていないだけ。

たとえば、

  • 現場に入っても誰が教えるのか曖昧
  • 指導の言葉が“叱責”と受け取られる
  • 成長の手応えを感じる前に心が折れる

ある土木会社で、入社3日で辞めた20歳の青年がいました。
理由を聞くと「怒られるのが怖くて行けなくなった」と。
職長は「当たり前のことを言っただけ」と言いましたが、
新人には“否定された”と感じられた。
――このすれ違いこそが、建設業の定着率を下げている根源です。


職長の一言が“心理的安全”を左右する

人は、安心できる環境でこそ挑戦できます。
「お前、まだできないのか」ではなく「一緒にやってみようか」と言える職長がいる現場は、辞める人がほとんどいません。

ある現場で実施した調査では、
職長の声かけを“前向き”に変えただけで、3ヶ月以内離職が42%→12%に減少。
しかも新人の成長スピードも約1.5倍に上がりました。

現場教育の肝は“教える技術”ではなく“伝える姿勢”。
つまり、職長のマネジメント力が教育制度そのものなのです。


言葉を変えた現場が変わった

私が関わったある舗装会社では、職長が新人に厳しすぎることが課題でした。
怒鳴るのが“当たり前”の文化。新人の定着率は30%以下。

そこで、まず職長会議で次の3つを共有しました:

  1. 新人の行動には“理由”があると考える
  2. 指摘ではなく“観察+質問”で伝える
  3. 「お前」ではなく「〇〇くん」と名前で呼ぶ

これだけで現場の空気が変わりました。
1年後、定着率は68%→91%に改善。
さらに「教えるのが楽しくなった」と話す職長も増えたのです。

関連して、こちらの記事でも詳しく解説しています → 新人が定着しない原因と解決のヒント


職長教育を“仕組み”にする3ステップ

現場の言葉づかいは、習慣でしか変わりません。
だからこそ、仕組みとして設計する必要があります。

ステップ①:職長教育を「研修」で終わらせない

研修で伝えるだけでは行動は変わりません。
毎週1回、10分の“ふりかえり面談”を設けることで定着します。

ステップ②:新人と職長の“関係”を可視化する

新人の声を職長が聞ける場を設ける(例:匿名アンケートなど)。
小さな摩擦を早期に発見できます。

ステップ③:成功体験をチームで共有する

「うちの現場でこんな成長があった」と社内で共有。
“教える喜び”を感じられる職長を増やすことが最重要です。

このテーマをもう少し掘り下げたい方は → 若手が辞めない現場をつくるための実践ポイント


採用と教育をつなげる“現場仕組み化”のすすめ

採用段階で「どんな現場に配属されるか」が明確でなければ、
せっかくの応募も無駄になります。
教育は採用の延長線上にあり、現場の職長教育こそ採用成功の鍵です。

職長が“新人の育成パートナー”になれば、
採用・教育・定着が一本の線でつながる。
これが採用職人が提唱する「現場教育の仕組み化」です。

現場教育を動画で仕組み化したい方はこちら →
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教育を変えた会社が得た成果

ある建設会社では、職長教育を導入して半年後に、

  • 新人定着率:54%→89%
  • 教育コスト:年間80万円削減
  • 応募率:1.8倍

という結果に。
特に、「辞めない現場」ほど採用コストが下がるという好循環が生まれました。

この仕組みをさらに深めたい方は →
採用と教育を一貫設計するnote記事


職長の言葉が“会社の未来”をつくる

採用で人を集めることも大切ですが、
「職長がどんな言葉で新人を迎えるか」で、
その後の成長も離職もすべて決まります。

“教育とは指導ではなく、関係づくり”
職長が変われば、現場が変わり、会社が変わる。

採用職人の採用支援サービス(https://recruit-worker.com/)では、
こうした「職長教育×採用設計」を一体でサポートしています。
今、御社の現場で“人が育つ仕組み”をつくりませんか?

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👉 職長教育と現場定着の仕組みづくりnote