採用を「数字」で語れる会社は強い──建設業が進める人材戦略の数字化

「採用は経営の数字」──その視点を持つ会社だけが伸び続ける
採用を「人事の仕事」として見ている会社は、まだ“感覚経営”に止まっています。
一方で、採用を経営指標として管理している会社は、安定的に人が集まり、辞めない構造をつくっています。
建設業の多くが「人手不足」と言いながら、実は採用データをほとんど取っていません。
応募数、採用単価、定着率──。
これらを“経営KPI”として可視化するだけで、採用効率と利益率は驚くほど変わります。
この記事では、採用を「経営数字」に変える考え方と実践法を、現場データと実例を交えて紹介します。
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🟧採用を“数字で管理していない”会社が9割
建設業の現場では、工程・原価・材料単価など、あらゆるものを数字で管理しています。
しかし「採用」だけは不思議なほど“感覚頼り”のままです。
「今年は3人くらい採りたい」
「そろそろ1人辞めそうだから募集出しておくか」
このような会話が多い現場ほど、採用コストが膨らみ、離職も多い。
実際、私が支援した30社を調査したところ──
- 採用KPIを持っていた会社:6社(20%)
- 採用単価を把握していた会社:わずか3社(10%)
つまり、9割の中小建設業では「採用コスト=感覚値」なのです。
この状態では、“改善の余地”を見つけることすらできません。
🟧データが示す「採用を数字化した会社」の生産性変化
採用をデータで追うと、経営効果は目に見えて変わります。
ある地方工務店(社員18名)では、以下のような変化が起きました。
| 項目 | 数字化前 | 数字化後(1年) |
|---|---|---|
| 応募者数 | 15名 | 120名 |
| 採用単価 | 約120万円 | 約38万円 |
| 平均採用期間 | 90日 | 32日 |
| 1年定着率 | 50% | 88% |
| 売上高人件費率 | 41% | 33% |
つまり、採用のKPIを可視化し、毎月モニタリングしただけで
人件費効率が20%以上改善し、労働生産性が向上しました。
データを「経営の言語」に変えることで、感覚ではなく意思決定ができるようになるのです。
👉 関連: 「採用に困らない会社」の裏にある“構造の違い”とは?
🟧「採用が数字で語れない会社」に起きている3つの損失
採用を数字で管理していない会社では、次のような“見えない赤字”が起きています。
1. 採用単価の不明確化
広告費・面接工数・離職による再募集コストを足すと、実際には1名あたり100〜150万円のコストがかかっているケースが多い。
この数字を知らないままでは「採用コストの最適化」は永遠にできません。
2. 採用スピードの遅延
数字管理がないと、応募〜面接〜内定のリードタイムが把握できず、競合に先を越される。
採用KPIを設定すれば、ボトルネックが見える化されます。
3. 定着率の“体感管理”
「うちは辞める人少ないよ」と言う社長ほど、実際の1年定着率を出すと50%未満というケースが多い。
感覚ではなく“データで現実を直視する勇気”が必要です。
🟧採用KPIを「経営ダッシュボード」に組み込む
採用データは、経営数字と同じように管理する必要があります。
以下のKPIを毎月チェックするだけで、改善サイクルが生まれます。
| 指標名 | 目的 | 基準値の目安 |
|---|---|---|
| 応募数(応募単価) | 集客効率 | 1人3万円以下 |
| 書類通過率 | 原稿の適合度 | 20〜30% |
| 面接通過率 | 面接内容の魅力度 | 40〜60% |
| 内定承諾率 | 会社の訴求力 | 70%以上 |
| 1年定着率 | 採用の質 | 85%以上 |
これらをスプレッドシートで可視化し、経営会議で毎月報告するだけで十分です。
採用が“感覚”から“経営数字”へ変わる瞬間です。
👉 関連note: “採用しても辞める”建設会社が見落としている、人手不足の本当の理由
🟧採用単価・労働生産性を経営計画に連動させる
採用を単発イベントではなく、「経営計画の一部」として扱うことがポイントです。
たとえば、以下のように数値で設計します。
目標売上:5億円
→ 必要人員:20名
→ 年間採用数:4名
→ 採用単価:40万円以下
→ 採用コスト総額:160万円
→ 採用投資対効果(ROI):1人あたり年間利益800万円 → ROI=500%
このように「採用ROI」を設定すると、経営会議で採用が“投資対象”として扱われるようになります。
数字を出せる採用は、経営判断を加速させます。
👉 関連note: 「求人広告会社任せ」から脱却!建設業が“自社で採用をコントロール”する方法
🟧データの仕組み化で「再現可能な採用」をつくる
採用を数字化する最大の目的は、“再現性”の確立です。
そのために必要なのは、採用データベースを社内に持つこと。
以下のような管理項目をテンプレート化しておくと、どの社員でも分析・改善ができます。
- 媒体別応募数/採用単価
- 面接官別の通過率
- 職種別の定着率
- 年齢層・地域別の応募傾向
- 採用から戦力化までの期間
これらのデータを積み上げていくと、「数字が会社の知恵」になります。
つまり、採用のノウハウを会社の資産に変えるということです。
👉 関連note: 建設業専用 教育動画・面談テンプレート〜“見るだけ・話すだけ”で育つ仕組み〜
🟧採用データ化で経営が変わった会社
データ管理を始めたC社(建設業・社員30名)の変化を紹介します。
Before:
- 採用単価120万円
- 応募10名/年
- 採用計画なし
- 現場の人手不足が慢性化
After(1年後):
- 採用単価40万円以下
- 応募180名/年
- 採用KPIを月次報告
- 採用ROI=480%
- 売上高5.2億円→6.8億円
採用を“見える化”したことで、社長が初めて「採用も数字で語れる」と感じたと言います。
採用の数字が経営会議に上がるようになった瞬間、会社の成長スピードが変わりました。
🟧採用職人noteで学ぶ「数字で回す採用戦略」
採用職人のnoteでは、今回紹介した採用KPIの設定方法やデータ分析のテンプレートを具体的に解説しています。
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🟧「採用データが経営を動かす時代」へ
これからの建設業は、“採用が経営を決める時代”に入ります。
採用を数字で見える化し、経営判断に組み込む会社だけが生き残ります。
数字は嘘をつきません。
「人が足りない」ではなく、「どこで、どんな人が、なぜ足りないのか」を数値で把握する。
これができれば、採用は“コスト”ではなく“投資”に変わります。
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