採用がうまくいかない会社の共通点は「人事と現場の分断」

現場が動かないと採用は進まない──“分断構造”が招く悪循環

建設業の採用でよく聞く言葉があります。
「人事が頑張っても現場が動かない」「面接したがる人がいない」「現場の反応が遅い」。
──正直、どれも“採用の仕組み”ではなく、“採用の構造”の問題です。

私は元・建設会社の人事部長として、年間200万円の広告費をかけても応募が10人以下だった時期を経験しました。
その時の共通点は「人事と現場が完全に分断」されていたこと。
人事は“採用をやる側”、現場は“人が来たら受け入れる側”という意識。
この“壁”こそが、採用を止めている最大の原因でした。

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現場と人事の“すれ違い構造”とは何か?

多くの会社では、採用活動が「人事主導」か「現場放任」のどちらかに偏っています。

人事は「応募が来ない」と焦り、広告や媒体を見直します。
一方で現場は「忙しいのに、面接ばかり増える」と不満を抱える。
この構図が続くと、人事は孤立し、現場は“採用に協力しない文化”が定着します。

実際、建設業のある企業ではこうでした。

  • 人事:求人原稿の文面も面接の段取りも、全部一人で対応。
  • 現場:応募者の経歴を見て「どうせ続かない」と決めつけ。
    結果:応募30名中、採用ゼロ。

これが「採用がうまくいかない会社の共通点」です。
問題は「応募数」ではなく、「採用に関わる体制の欠如」なんです。


【実例】現場を巻き込んだだけで応募が5倍に増えた話

私が人事部長だった頃、最初に手をつけたのは“現場との関係修復”でした。
会議ではなく、昼休みや車中での雑談から始めました。

「現場にどんな人が来てほしい?」
「どんな人が定着しそう?」
最初は「別に誰でもいいよ」としか返ってきませんでした。

でも、週に1回の小さなヒアリングを3ヶ月続けた結果、
現場側から「こういう人がいい」という“採用基準”が生まれたんです。

その後、求人原稿に現場の言葉を反映しました。
すると応募が5倍に。面接通過率も2倍になりました。

──つまり、現場を巻き込むだけで「数字」が動く。
これが、私が最初に体感した“採用の仕組み”です。


なぜ現場を巻き込むと採用が強くなるのか?

現場は、求職者にとって「会社のリアルな顔」です。
どんなに立派な求人原稿を書いても、現場が冷めていたら応募者は不安を感じます。

人事が“採用の入口”を作り、現場が“定着の出口”を担う。
この両輪が回らない限り、採用は永遠に空回りします。

たとえば、採用面接で現場リーダーが同席するとどうなるか。
応募者は「一緒に働く人が見えた」と安心し、入社後のギャップも小さくなる。
これが「採用文化の共有」の第一歩です。


【3ステップ】現場と人事が協働する採用設計

STEP1:現場を“採用会議”に招く

月1回でいいので、現場リーダーと人事が一緒に応募状況を共有。
「どんな人が来て、なぜ辞退されたか」をデータで見える化します。

STEP2:現場主導の求人原稿づくり

人事が文章を整えるのではなく、現場の“言葉”をベースに書く。
「未経験でも現場がフォローする」「慣れるまで2ヶ月はついて教える」など、実際の空気感を伝えます。

STEP3:面接を“共通体験”に変える

面接官がバラバラの評価をしている会社では、定着率が上がりません。
「評価シート」や「質問テンプレート」を共有し、現場と人事が同じ基準で判断できる仕組みを導入します。

この考え方は、こちらの記事で詳しく整理しています →


【成果】応募200人・採用20人を実現した“現場巻き込み”モデル

人事だけで採用を頑張っていた頃は、応募10人以下。
しかし、現場と協働するようになってからは、半年で応募200人・採用20人を達成。
応募単価3万円以下、採用単価40万円以下。
──これが、“分担”から“協働”へ変わった結果です。

「現場を巻き込む」ことは、単なるチームワークではなく、“再現性ある採用設計”の根幹です。


採用文化をつくるのは「制度」ではなく「会話」

採用を文化に変えるために必要なのは、“ツール”でも“コンサル”でもありません。
毎週5分の会話、毎月1回の共有、それだけで十分です。

現場が「人を迎える責任」を感じ、人事が「現場の本音」を理解する。
この往復こそが、採用のPDCAを回す最初の一歩になります。


まとめ:採用は“気合”ではなく“仕組み”で変わる

採用に強い会社は、広告や予算よりも「社内連携の質」で差がつきます。
現場を巻き込めるかどうか──それが採用成功の分岐点です。

もし御社が「人事が孤立している」と感じているなら、
まずは“現場との採用会話”を始めてみてください。


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さらに実践的な方法を知りたい方はこちらの記事もおすすめです:

「“採用しても辞める”建設会社が見落としている、人手不足の本当の理由」


参考統計
厚生労働省「令和6年版労働経済白書」では、
中小企業における“職場の一体感”が採用・定着率に最も影響する要因として挙げられています。
(出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/)


この記事のまとめ

  • 採用がうまくいかない最大の理由は「現場と人事の分断」
  • 現場を巻き込むと応募・定着率が劇的に向上
  • 採用文化は「制度」ではなく「会話」から生まれる

──採用を“人事の仕事”から“会社の文化”に変える時代へ。