【みんな知らない】採用単価を下げても“質を上げる”方法がある

「採用単価」って、結局いくらが妥当?

──「1人採るのにどれくらいかけるのが普通なんだろう?」
建設業の採用担当者から、必ずといっていいほど聞かれる質問です。

広告費、媒体費、人件費、面接時間…。
採用活動には“目に見えないコスト”が多く、
実際に1人採るのにいくらかかっているのかを把握している会社は意外と少ないのが現実です。

採用単価は単なる数字ではなく、
「自社の採用活動がどれだけ効率的か」を示す経営指標です。
つまり、採用単価を知らない会社は、経営の“見えない赤字”を抱えているということ。

採用職人は建設業に特化した中小企業様向けに採用支援サービスを提供しています。
採用でお困りのことがありましたら、お気軽にご相談ください。御社の成長を加速させる機会を。

 

採用単価の基本式──“計算できる採用”にする

まず、採用単価は次の式で求められます。

採用単価 = 採用にかかった総費用 ÷ 採用人数

これだけです。
ただし、多くの企業がここで間違うのが、「採用費用の定義」です。

採用費用に含めるべきコスト

  • 求人広告費・求人票掲載費
  • 人材紹介料・業者手数料
  • 採用サイト・パンフ制作費
  • 面接官・人事担当者の稼働時間(人件費換算)
  • 面接・教育の交通費、宿泊費など
  • 入社後の教育・研修費(初期定着まで)

たとえば、年間で200万円の採用関連費がかかり、4名採用できたなら、

採用単価=200万円 ÷ 4人=50万円/人

これが“正しい採用単価”です。


建設業の採用単価の全国平均

厚生労働省「令和6年版労働経済白書」およびリクルートワークス研究所の調査によると、
建設業の採用単価平均は以下の通りです。

採用規模採用単価(平均)傾向
大手企業約90〜150万円研修・広報コストが高い
中小企業約40〜80万円媒体依存度が高い
採用成功企業(自社設計型)約25〜50万円内製化・仕組み化で効率化

つまり、建設業の採用単価の「妥当ライン」は1人あたり40〜80万円前後
100万円を超えている場合は、“改善余地あり”のサインです。


採用単価が高止まりする3つの理由

① 「媒体依存型採用」になっている

広告会社に丸投げし、「掲載した=採用活動した」と思っていませんか?
応募が来ない原因を分析せず、惰性的に更新を続けると、
“出しているのに採れない構造”に陥ります。


② 「面接工数」が増えすぎている

応募が来ても、面接の合否判断が曖昧で通過率が低い。
現場と人事の連携が取れず、「時間コスト」が採用単価を押し上げているパターンです。

③ 「離職コスト」を計算していない

採用単価は「採って終わり」ではなく、「定着まで」を見る指標です。
半年で辞めた人がいれば、その採用は実質赤字。
“定着率込みの採用単価”こそ、本当の数字です。

この視点は、👉 「“採用しても辞める”建設会社が見落としている、人手不足の本当の理由」 にも通じます。


【実例】採用単価150万円→40万円以下に改善した方法

私が人事部長をしていた頃、最初の採用単価は150万円。
求人広告を複数出しても、応募は10人以下、採用ゼロ。

そこから半年で採用単価を40万円以下に下げ、応募200人・採用20人を達成した方法がこちらです。

改善①:応募導線を“1本化”

媒体を減らし、自社求人ページを中心に応募導線を設計。
「どの媒体から応募が来たか」をすべて可視化。
結果、応募単価が1/3に

改善②:求人原稿を“現場の声”で作る

現場社員にヒアリングし、「本音」を文章化。
「未経験でも最初の1ヶ月は先輩がマンツーマン」など具体的な表現で応募率が2.8倍に。

改善③:面接をデータで改善

合否理由・辞退理由をスプレッドシートで数値化。
「通過率・定着率」の両軸で判断。
結果、採用ROI(投資効果)は3.2倍に。


採用ROIの考え方──“安さ”より“回収率”を見よ

採用単価を考えるうえで、最も大切なのは**ROI(投資対効果)**の視点です。

採用ROI = 採用後の利益貢献額 ÷ 採用単価

たとえば、採用単価50万円で入社した社員が
1年で150万円の利益を生んだなら、
ROI=3。つまり3倍の投資効果があるということ。

一方、採用単価20万円でも半年で辞めたらROIはマイナスです。
安い採用ではなく、「利益を生む採用」を設計することが本質です。


採用単価を下げながら“質”を上げる3ステップ

STEP1:データを可視化する

応募数・通過率・定着率・採用単価を月次で集計
数字の見える化が改善の第一歩です。

STEP2:現場との連携強化

現場面接官の同席率を上げると、定着率が大幅に向上します。
現場が採用基準を共有すれば、ミスマッチを防げます。

STEP3:採用を“プロセス”で管理

採用は単発ではなく、PDCAで改善するプロジェクト。
媒体検証・面接精度・入社後育成を一連の流れで管理することで、
採用単価と離職コストを同時に下げられます。


成果で見えた「コスト最適化の構造」

採用単価を意識した企業は、半年〜1年で次のような成果を出しています。

  • 採用費30〜50%削減
  • 定着率+25%
  • 現場面接官の評価満足度+40%

数字を把握し、“採用のムダ”を見える化するだけで、
会社全体の採用体質が変わります。


採用単価の目安を「経営指標」にする

建設業の採用単価の妥当ラインは、
中小企業で1人あたり40〜80万円

でも、この数字はゴールではなく経営のモニタリング指標です。
重要なのは「このコストでどれだけ定着しているか」。

採用単価が高くてもROIが高ければ成功。
安くても離職すれば失敗。
数字は“結果”ではなく“改善のツール”です。


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採用単価・ROI・応募導線などのデータを基に、
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参考データ
厚生労働省「令和6年版労働経済白書」およびリクルートワークス研究所「採用コスト調査2024」によると、
建設業の採用単価は平均約72万円。
採用の仕組みを内製化した企業では、平均38万円まで下がる傾向があります。
(出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/roudou/)


この記事のまとめ

  • 建設業の採用単価の目安は1人あたり40〜80万円
  • 採用単価は「費用÷採用人数」で算出できる
  • 採用ROIで“投資効果”を測ることが本質
  • 単価を下げるには、導線設計×データ管理×現場協働が鍵

──採用は「いくら使ったか」ではなく、「いくら残ったか」で見る時代へ。