採用効果を“感覚”で終わらせないROIで見る採用の本当の成果

採用費を「経費」ではなく「投資」と言い切れますか?
「今年も採用費が膨らみました」
「応募は増えたけど、費用対効果はよく分かりません」
──そう報告すると、経営層からの反応は冷ややかになる。
でも、もしあなたが数字でこう言えたらどうだろう?
「1人あたりの採用ROIは740%。採用コスト60万円で年間粗利440万円を生みました」
その瞬間、経営の会話が変わる。
採用が“経費”から“投資”へと昇格するのだ。
この記事では、建設業界の実例を交えながら、採用ROI(投資対効果)の考え方と測定手法、そして改善の仕組み化を解説する。
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採用費の“見える化”が進んでいない
リクルートの調査によると、建設業の採用単価(1人あたり採用コスト)は平均約150万円(2024年)。
※出典:リクルートワークス研究所「採用実態調査2024」
だが、これを「投資として分析している」中小企業はわずか18%。
多くの会社は「媒体ごとの応募数」や「採用人数」だけを見て、ROI(投資対効果)を測定していない。
結果、こんな会話がよく起こる。
経営者:「で、いくら使って、いくら戻ったの?」
採用担当:「……採用は長期的な投資ですから」
曖昧な回答が続くと、採用への信頼は失われる。
いま求められているのは、「採用を数字で語る力」だ。
データ:採用ROIの基本構造を理解する
ROI(Return on Investment)は、
「投資に対してどれだけの利益を得たか」を示す経営指標。
採用に置き換えると、次の式で表される。採用ROI=採用による利益−採用コスト採用コスト×100採用ROI=採用コスト採用による利益−採用コスト×100
たとえば、採用コストが60万円で、採用した社員が年間粗利600万円を生んだ場合:採用ROI=600−6060=9.0(=900%)採用ROI=60600−60=9.0(=900%)
1円の採用費が9円のリターンを生んでいるということ。
この数字が出せれば、採用が「利益を生む仕組み」として説明できる。
問題提起:なぜ多くの企業がROIを測れないのか
理由は3つある。
- 採用データがバラバラで集計できない
媒体・面接・定着のデータが一元化されていない。 - “採用成果=人数”で止まっている
採用後の生産性や定着率を追っていない。 - ROIをどう計算すればいいか分からない
費用の内訳(広告費・工数・教育費)が曖昧。
これらの構造的な理由で、
「採用は数字で語れない」状態が続いている。
改善策①:採用データを“経営指標”に変える
まずやるべきは、採用をKPI構造で見える化すること。
集めるべき5指標
| 指標 | 内容 |
|---|---|
| 採用コスト | 媒体費・人件費・外注費の合計 |
| 応募数/面接数/採用数 | 各プロセスの歩留まり |
| 定着率 | 3・6・12ヶ月の残存率 |
| 採用者の生産性 | 入社後の売上・粗利・工事貢献度 |
| 採用ROI | (生産性−コスト)÷コスト×100 |
これを月次・四半期ごとに集計し、
「投資 → 効果 → 改善」のPDCAを回す。
→ 関連記事:採用は「やること」ではなく「回すこと」──PDCAで変わる現場採用
改善策②:ROIを上げる“3つのレバー”
ROIを上げるには、「投資効率」を上げるレバーを持つこと。
| レバー | 内容 | 期待効果 |
|---|---|---|
| ① 採用単価の削減 | 無料媒体・自社サイト活用 | コスト↓ |
| ② 定着率の向上 | 教育・面談・評価制度 | 成果期間↑ |
| ③ 採用精度の改善 | ペルソナ設計+質問設計 | ミスマッチ↓ |
特に建設業では、「定着」がROIを大きく左右する。
半年で辞める人を採ればROIはマイナスだが、3年続けば数百%に跳ね上がる。
→ 参考:建設業の離職率を下げる会社の共通点とは?定着率を上げる採用と育成の仕組み
改善策③:ROIを“可視化”して経営に報告する
ROIは、経営層が最も理解しやすい言語だ。
だからこそ、見える形にして共有することが重要。
月次レポート構成例
- 総採用コスト
- 採用単価
- 採用ROI(総合・媒体別)
- 定着率推移
- 改善施策と成果
これをグラフ化すれば、数字が“説得力”に変わる。
改善策④:ROIを“人材戦略”と連動させる
ROIは単なる数値ではなく、戦略判断の材料でもある。
たとえば、
- 若手採用ROI:300%
- 経験者採用ROI:850%
この結果を踏まえ、「今年は経験者採用に注力しよう」と戦略転換できる。
ROIは、“どの採用が会社を伸ばしているか”を教えてくれる。
改善策⑤:ROI改善を“現場行動”に落とす
数字を出しても、現場で変化が起きなければ意味がない。
そこで重要なのが「ROIから行動を導く」こと。
| 分析結果 | 課題 | 改善行動 |
|---|---|---|
| 応募数多いが採用率低い | 面接設計に問題 | 質問内容の統一 |
| 採用できても半年で離職 | 定着支援不足 | 初期OJT+面談制度 |
| ROIが高いのに応募減少 | 媒体更新停止 | 自社HP更新頻度UP |
このように、ROIを単なる“結果報告”ではなく、行動設計の根拠として使う。
採用ROIが“経営指標”になる時代へ
今後、採用は「採れた・採れない」ではなく、
「採用がどれだけ会社の利益を生んだか」で評価される。
大手だけでなく、建設業界の中小企業でもデータ活用は進んでいる。
ROIを把握している企業は、採用予算の再配分が2倍速で行える(リクルートワークス調査2024)。
つまり、採用ROIを見える化できる企業が、
“人材獲得の競争”を勝ち抜く。
ROI経営に転換した建設会社の変化
ある中堅建設会社(社員80名)は、
毎年200万円の採用費を使いながら、採用ROIを測ったことがなかった。
私が関わった際、まずROI分析を実施。
結果、媒体AのROIが200%、媒体Bは−40%、自社HPは700%。
翌年、自社サイト中心に切り替えたところ──
- 応募数:2.5倍
- 採用単価:−63%
- ROI:全体で980%に上昇
経営者が数字で採用の効果を理解し、
「採用にもっと投資しよう」と発言した瞬間、
採用は“支出”から“戦略投資”へ変わった。
まとめ:採用を“数字で語れる人事”が次の主役になる
採用ROIとは、単なる計算式ではない。
それは「経営と採用をつなぐ言葉」であり、
“数字で信頼される人事”への第一歩だ。
採用は感覚ではなく、投資。
ROIを測ることで、採用の本質が見えてくる。
👉 詳しくはnoteで体系的に解説しています
https://note.com/recruit_worker
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結論
採用費を“投資”と捉えた瞬間、
採用は数字で語れる武器になる。
ROIを測れない採用は、改善も再現もできない。
採用を強くするのは、予算ではなく「数字の意識」だ。

