【採用は投資】ROIで見える“採れる会社”の数字構造

「この採用費、いくらの成果を生んでるの?」──経営者の一言で凍りつく

月30万円の求人広告。
応募が20件、面接が5人、採用が1人。
さて──ROI(投資対効果)で見たとき、この採用は成功と言えるのか?

採用担当者が最も苦手とするのが、「数字で語ること」。
だが、経営が求めているのは“成果の説明”ではなく、“費用対効果の根拠”だ。

この記事では、私が人事部長として「採用ROIを可視化し、経営に納得される報告書を作った方法」を実例ベースで解説する。
「感覚採用」から「投資としての採用」へ──
数字で語れる人事になるための最初の一歩をお伝えしたい。

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あなたの会社の「採用ROI」はいくらですか?

採用ROI(Return on Investment)とは、

採用に投資した費用に対して、どれだけのリターン(利益・価値)が得られたかを示す指標。

つまり、「1円の採用費で、どれだけの成果を生んでいるか」を数字で見る考え方だ。

しかし多くの企業では、

  • 「採用コスト」=広告費+人件費
  • 「成果」=採用人数
    ──という“表面的な足し算”で終わってしまう。

だが、採用の本質的ROIはもっと深い。
なぜなら、「採って終わり」ではなく「定着・生産性・離職率」までを含むからだ。


ストーリー:経営会議での“沈黙”が変化の始まりだった

ある年の経営会議。
私は毎月の採用レポートを提出し、「応募が増えました」「採用数が前年比+3人です」と報告した。
しかし社長の一言が突き刺さった。

「それ、結局いくらの売上につながったの?」

その瞬間、言葉を失った。
“採用成果=人数”で語ってきた私に、ROIの視点が欠けていた

そこから、私は採用活動を“投資事業”として見直した。
費用・成果・期間・生産性──すべてを数字で追跡し、採用ROIを「見える化」する仕組みを作った。

結果、経営からの信頼は一変した。
「採用が会社を伸ばしている」ことを、数字で説明できるようになったからだ。


採用ROIの算出方法をシンプルに整理する

採用ROIを考える際、まず定義を明確にしよう。

ROIの基本式

採用ROI=採用による利益−採用コスト採用コスト×100採用ROI=採用コスト採用による利益−採用コスト​×100

では「採用による利益」とは何か?
単に“採用人数”ではなく、採用した人が生み出した価値を指す。

建設業での実例(実測値)

  • 採用1人あたりが生む年間粗利:600万円
  • 採用コスト:60万円

採用ROI=600−6060=9.0(=900%)採用ROI=60600−60​=9.0(=900%)

つまり、1人の採用に投じた費用の9倍の価値を生み出している

この数字を経営に示すと、「採用=コスト」ではなく「投資」として扱われるようになる。


分析②:ROIを高める“3つの改善ポイント”

ROIを上げるには、「分母(コスト)」を減らすか「分子(成果)」を増やすか。
採用の場合、この両方を狙える。

改善ポイント具体策効果
① 採用単価を下げる無料媒体・自社サイト活用コスト削減
② 定着率を上げる現場教育・フォロー制度離職リスク減少
③ 生産性を上げる適性採用・面接精度向上粗利向上

つまり、ROIを高めるには「採用〜定着〜活躍」の一連を“連動して改善”することが重要だ。

関連して、こちらの記事もおすすめ:
離職率を半減させた採用設計──成功企業の共通点


実践ステップ①:データ収集の仕組みを整える

ROIを算出するには、まず「データ」が必要だ。

集めるべき5つのデータ

  1. 採用コスト(広告・人件費・外注費など)
  2. 応募数・面接数・採用数
  3. 入社3ヶ月・半年・1年の定着率
  4. 採用者の生産性(売上・粗利・評価)
  5. 採用経路(どの媒体から来たか)

このデータをExcelやスプレッドシートで毎月更新すれば、採用の“収益構造”が見えてくる

特に、「媒体別ROI」を出すと効果の差が明確になる。

媒体コスト採用数ROI
A(有料広告)50万円1人300%
B(Indeed無料枠)0円3人
C(紹介)30万円2人900%

結果、「無料媒体でもROIが最も高い」と経営層に示せる。


実践ステップ②:ROIを“可視化”して共有する

データは溜めるだけでは意味がない。
重要なのは、経営層が一目で理解できる可視化だ。

おすすめは、グラフやKPIダッシュボード形式。

採用ROIダッシュボード例

  • 採用単価(Cost per Hire)
  • 採用ROI推移(折れ線グラフ)
  • 定着率(3・6・12ヶ月)
  • 媒体別成果比率

これを月次で提示すると、経営者の反応が変わる。
「採用が投資として回っている」ことが“視覚的に伝わる”からだ。


実践ステップ③:ROIを基に改善提案を行う

ROIを出すだけで満足してはいけない。
数字を“改善の根拠”に変えることが重要だ。

例えば、次のような報告書構成にすると説得力が増す。

【提案例】

  • A媒体のROIは300% → コスト対効果が低いため削減提案
  • B媒体(無料枠)はROI∞ → 強化対象として継続運用
  • 定着率70%→90%にする施策として「OJT設計+初期面談」導入提案

こうして「数字+改善アクション」をセットで出すことで、
経営層は“投資先の判断”ができるようになる。

関連して、こちらの記事でも実践ノウハウを紹介 →
採用は「やること」ではなく「回すこと」──PDCAで変わる現場採用


実践ステップ④:ROIを“現場の言葉”に翻訳する

数字は大事だが、現場に伝わらなければ意味がない
経営層にはROIを、現場には「採用が生む価値」を。

たとえば、

  • ROIが900% → 「採用1人で年間粗利600万円を生んでいる」
  • ROIがマイナス → 「採用費に見合う成果が出ていない」

このように“数字を具体的な行動価値”に置き換えることで、
人事の報告が“経営の言葉”になる。


実践ステップ⑤:中小企業でもできる「ROI設計テンプレート」

採用ROIの計算は複雑に見えるが、テンプレート化すれば誰でもできる

Excel設計の基本項目

項目内容
投資額広告費、人件費、外注費など
採用人数月ごと、媒体ごと
採用後粗利一人当たり年間売上または利益
離職率3ヶ月、6ヶ月、1年単位
ROI自動計算式=(粗利−投資額)÷投資額×100

これを月次で入力するだけで、「採用の投資成果」が見える。

この仕組みを導入した企業では、採用戦略の意思決定スピードが2倍に向上している。


採用を“コスト”ではなく“投資”と捉える会社が伸びる

採用ROIを追うというのは、単なる数字管理ではない。
「人を採る=企業の未来に投資する」という視点を持つことだ。

採用の成果を定量化できれば、

  • 経営の理解が得られやすくなる
  • 予算配分が論理的になる
  • 現場と経営が同じ方向を向く

つまり、ROIは“人事の武器”になる。

採用は感覚ではなく、データで語る時代。
ROIを測る会社こそ、次の採用競争に勝つ。


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結論
採用ROIとは、経営と人事をつなぐ“共通言語”だ。
数字で語れる採用担当は、経営戦略を動かせる。
採用の成否は、応募数でも採用数でもなく──ROIで決まる。